特急しなのとは
特急しなのは,、JR東海名古屋駅からJR東日本松本・長野駅を結ぶ在来線特急です。名古屋から松本まで最速2時間3分、長野まで2時間56分で結びます。特急として活躍するだけでなく、平日朝夕ラッシュ時には、名古屋口のホームライナーとして通勤客の輸送でも活躍しています。
使用車両は、1994年にデビューしたJR東海383系です。足回りには大容量のモーターと制御付き振り子装置が備えられており、曲線の多い区間でありながらも速度を落とすことなく猛スピードで走り抜けます。振り子車両特有の揺れにより、乗り物酔いを催す人もいるそうです。所要時間の早さと本数の多さ(1時間1本程度)から、名古屋から長野県内の輸送においては高速バスを差し置き、圧倒的なシェアを誇っています。
グリーン車のいいところ
座席数が多い
特急しなの号は通常6両編成、多客期は8両、10両編成で運行されており、基本的にグリーン車は6、8両編成で運行される場合1両、10両編成には2両連結されています。
1両当たりの座席数が11列×4席=44席あることから、グリーン車はいつもスカスカです。
4列配置だが座席は十分に大きい
シートピッチ(前後間隔)は1200㎜とかなり広めです。(しなの号普通車で1000㎜、N700Sグリーン車で1160㎜)大柄な男性が乗っても持て余してしまうくらいの余裕があります。
席配置は普通車と同じく4列ですが、幅の狭さは感じません。そもそも横に他人が座ることがないので、手荷物を置いたりして自由に使えます。
パノラマビューの前面展望
グリーン車は長野方面の先頭車に連結されており、最前列に座れば大きな窓から前面展望が楽しめます。沿線は風光明媚な景色が多く、木曽谷の山間部、日本三大車窓の姨捨山からの絶景、そしてジェットコースターのように曲線を高速で駆け抜ける迫力のある展望が見れます。ただし、最前列は人気が高いためすぐに埋まること、最前列を予約できても極まれにパノラマビューではない編成に当たることなど、注意点もあります。
なお、グリーン車と反対側の名古屋方の先頭車は、貫通型であるため前面展望が見れないことはありませんが、迫力は劣るのと自由席なのでベストな座席を確保できる保証はありません。やはり迫力の前面展望を楽しむならパノラマグリーンの先頭車に限ります。
毛布の貸出あり
数量に限りはありますが、毛布の貸出があります。ゆっくり眠りたいとき、空調が寒い時などは重宝します。
イマイチな点
・Wi-Fiなし
特急しなの号にはWi-Fiはありません。山間部のトンネルにおいては携帯回線もつながらないこともあります。一方、同じJR東海の在来線特急「ひだ」「南紀」には新型車両に加え、2023年度に引退予定のキハ85系にも無料Wi-Fiが整備されております。
・コンセントなし
特急しなの号にはコンセントはありません。長時間の乗車においてはモバイルバッテリーが必須です。
・車内販売なし
車内販売、自動販売機はありません。途中駅の停車時間もわずかであるため、事前に購入する必要があります。
・洋式だが温水便座ではない
383系のトイレは洋式ですが、近年の最新型車両にありがちな温水洗浄便座ではありません。走行中は大きく揺れるため、乗車中のトイレの使用はオススメしません。
こんな人にオススメ
前面展望を楽しみたい
個人的に、しなの号グリーン車を利用する唯一の価値と言えばパノラマグリーンの前面展望といっても過言ではありません。一番オススメなのは運転席の真後ろではない方のCD席です。これに乗れなければグリーン車に乗る価値はないと思っています。(笑)
乗車距離が100㎞に満たない
グリーン車の料金は100km単位で大きく料金が上がるので、乗車距離がギリギリ100㎞もしくは200㎞に満たない場合、コスパよく利用できます。
例えば、中津川→塩尻駅間は94.9kmで普通車指定席1730円グリーン車2500円、中津川→松本駅間は108.2㎞で普通車指定席2390円グリーン車4660円と、100㎞を境に料金が一気に跳ね上がります。短距離の利用であれば、追加料金が少なめで利用できますね。
ホームライナーで利用
平日限定ですが、中央本線名古屋口では朝夕に2往復、383系を使用したホームライナーが運行されています。ホームライナーは快速列車なので、乗車料金の他に普通車であれば330円、グリーン車であれば780円(~50キロ)、1000円(~100キロ)で利用できます。筆者も乗車したことがありますが、グリーン車には2~3人程度しか乗客がおらず、当日でも最前列をとることが出来ました。ただし、ホームライナーは特急ほどスピードを出さないので、迫力を感じることはできません。
まとめ
本記事では、特急しなの号グリーン車の利用価値について、車内設備、料金の観点から考えてみました。
結論としては、長野方面グリーン車の最前列を確保できれば、迫力のある前面展望が楽しめるので利用価値が大いにあると言えます。
その一方で、使用車両の383系は登場から約30年が経過しており、グリーン車でもコンセントやWi-Fiの設備がないことを考えれば、わざわざ高いお金を払ってまでグリーン車に乗る必要はないでしょう。
ただ快適であることに変わりはないので、特別な旅行、自分へのご褒美、お金が余って仕方のないときに利用してみてはいかがでしょうか。