【検証】特急ひだ・南紀号 HC85系グリーン車の利用価値について考える!普通車との徹底比較

特急列車
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HC85系とは

最新型HC85系
キハ85系

HC85系とは、特急「ひだ」「南紀」で使用されている気動車特急キハ85系(1988年デビュー)の後継として、2022年7月1日に高山線「ひだ」号でデビューしました。その後、2023年3月に大阪駅へ直通する「大阪ひだ」の運用を開始、同年7月1日より紀勢線特急「南紀」号にて運行を開始し、キハ85系の運用を全て置き換えました。

HC85系の特徴は、東海道新幹線最新型N700Sを受け継ぐ機能的な車内設備と洗練された内装、駆動装置にエンジンと電力を組み合わせた環境にやさしいハイブリッド方式の車両であることです。先代のキハ85系に比べ、機能性、快適性、環境性能が大きく向上しております。

ハイブリッド方式の駆動装置のおかげで、加速時の変速機のショックや、エンジン音の低騒音化、エンジンがアイドリングしているときの小刻みな揺れなどが無くなり、乗り心地が格段に良くなっています。

本記事では、そんな最新型HC85系のグリーン車に焦点を当てて、HC85系グリーン車の内装、普通車との比較先代キハ85系との比較についてご紹介いたします。

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HC85系 外観・デッキ部分

HC85系の車体はステンレス製です。デビュー直後なのでピカピカです。行先表示器はLCD仕様、ロゴには大きく「HYBRID」とかかれています。

デッキは木目調を基本とした温かみのあるデザインです。とても高級感を感じます。また、ドア周りの意匠、洗面台やドアの取っ手、など、所々にN700Sのデザインを感じます。

デッキには「ナノミュージアム」という沿線の伝統工芸品を鑑賞できるスペースが設置されています。トイレの待ち時間や降車する前に眺めることができます。展示されている工芸品は、車両ごとに異なる工芸品を設置しているので飽きることがありません。

お手洗いは、N700Sと共通仕様の温水便座式となっております。特急列車のトイレ=汚いというイメージが見事に払拭されています。

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グリーン車客室内

いざ、HC85系グリーン車の乗車です。座席の色彩は、沿線の新緑や美しい川、夕暮れの紫の空をグラデーションで表現しております。内壁は、落ち着いた濃い茶色の木目調により「木のぬくもり」を演出しております。

照明は、温かみを感じる電球色です。日よけには最近の新型車両には珍しく、布のカーテンが用いられております。荷棚は透明のシースルー式なので開放感があるとともに、忘れ物に気付きやすい作りになっています。

リクライニング前
フルリクライニング状態

座席の前後間隔はかなり余裕があります。リクライニングは、背もたれと座面が連動して傾く機構を採用しております。通称「ゆりかご式リクライニング」と呼ばれており、体が沈み込むような座り心地です。ヘッドレストは上下方向に可動式です。快適な位置へ調整できます。

テーブルは座席背面に大型のものが設置されており、シートピッチが広い分、前後にスライドする方式となっています。(ひじ掛け部にはテーブルはありません)

全席ひじ掛け部にコンセントを完備
手元に読書灯のスイッチを備える
枕元に読書灯を備える

座席足元のフットレストは高さの調整が可能です。靴を履いた状態と、脱いだ状態の両方で使用可能です。

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先代キハ85系との違い

座席の横幅が狭くなった

左:キハ85系 右:HC85系

キハ85系のグリーン車の中には2+1列配置の車両もあり、左右の間隔はキハ85系の方がかなりゆとりがあります。同じJR東海の特急しなの号の383系グリーン車は2+2列配置となっているため、2+1列配置のキハ85系は貴重な存在でした。また、最近では在来線特急で2+1列配置を採用する列車はほぼなく、キハ85系が製造されたバブル時代の豪華な仕様とも言えます。

実際に乗車して感想として、2列席でも左右の間隔が広くてプライベート感があること、座席背面のテーブルに加えてインアームテーブルがあって広々と机を使えること、座席が広いので寝返りを打てることなどが挙げられます。

前面展望が見えにくい

キハ85系の先頭車では座ったままパノラマ前面展望が楽しむことができました。上の写真は非貫通型ですが、貫通型の座席でも座席に座ったまま前面展望を楽しむことができます。普通車、グリーン車ともにキハ85系の最前列は大人気の座席でした。

一方のHC85系の前面形状は、全て貫通型となっており、また、運転台の後ろには座ったまま前面展望を楽しめる座席はありません。一応、自動ドアを開けると大人一人が立てる程度のスペースがあり、前面展望が見れるようになっています。中央の全面窓にサッシが干渉していて、あまり開放的な前面展望とは言えませんね。ただ、速度計などの計器類が見れるので運転士のような感覚が味わえます。

ハイデッカー構造は受け継がず

キハ85系はハイデッカー構造となっており、座席が通路に対して一段高くなっています。景色は楽しめますが、足元でつまづきやすいというデメリットもあります。

一方のHC85系は、ハイデッカー構造ではないものの大きな窓が受け継がれており、景色を楽しむには十分な構造と言えるでしょう。

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普通車との比較

普通車もグリーン車ともに4列座席であるため、座席の横幅は基本的に同じです。グリーン車が普通車よりも優れている点としては、前後のシートピッチに余裕があること、フットレストがあること、ひじ掛けが若干分厚いことが挙げられます。一方、コンセントは普通車でも全席完備されており、機能面では大差ありません。確かに快適性においては確実にグリーン車の方が優れますが、普通車も快適すぎるため、グリーン車の優位性はあまり大きくないと言えます。

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まとめ

本記事では、HC85系グリーン車の内装、普通車との比較先代キハ85系との比較についてご紹介いたしました。

HC85系グリーン車の特徴としては、

・新幹線N700Sを受け継ぐ機能的かつ快適な内装

・ハイブリッド方式なので乗り心地がよい

・デッキ、トイレがとても清潔(トイレは温水便座付き)

・キハ85系と比較して、前面展望は楽しめない、座席幅が狭い

・HC85系普通車と比較して、設備面、座席幅は大差ないが、足元が広いなど小さな優位性はある

などが挙げられます。

やや酷評も交えましたが、HC85系グリーン車には言葉では言い表せない快適性、優雅さがあります。是非とも、飛騨高山、富山方面、南紀へ向かうときにはHC85系グリーン車を利用してみてはいかがでしょうか。

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