HC85系概要
2022年7月デビュー
HC85系は特急「ひだ」「南紀」で使用されている気動車特急キハ85系の後継として、2022年7月1日に高山線「ひだ」号でデビューしました。2023年3月に大阪駅へ直通する列車の運用を開始、同年7月1日より特急「南紀」で運行を開始し、キハ85系の運用を全て置き換えました。
非電化区間を走るのに気動車ではなく電車
先代のキハ85系の駆動装置はディーゼルエンジンのみなので、気動車という扱いでした。一方、HC85系はハイブリッド方式といって、ディーゼルエンジンで発電した電力と、ブレーキ時などに発生するエネルギーによって充電される蓄電池の電力を組み合わせて走行する方式を採用しており、電車に分類されています。HC85系はハイブリッドシステムの導入より、安全性・快適性の向上や環境負荷の軽減に貢献しています。
側面デザイン
- 先頭車前面、上部、照明を滑らかな曲線形状にすることで「和」を表現しました。
- 前面上部は、飛騨・南紀地区の「木」の色の赤みがかった茶色としました。
- 車両前面から側面に繋がるJR東海のコーポレートカラーであるオレンジ色の帯を曲線にして「躍動感」を表現しました。
- 水性塗料使用により環境へ配慮しました。
シンボルマーク
ハイブリッド方式の鉄道車両として国内初の最高速度120km/hでの営業運転をするため、シンボルマークのデザインは、車両の特徴を色と形状で表現しました。
- 特急「ひだ」「南紀」が走行する飛騨・南紀の沿線の紅葉や海を、赤と青の2色で表現しました。
- 対比する2色のグラデーションで、ハイブリッド方式を表現しました。
- 車両の外観の帯に合わせた3本の流線形状で、“スピード感”を表現しました。
前面形状
前面は貫通型となっています。先頭車の最前列に座っても前面展望は全く見えません。個人的にはHC85系唯一の残念なポイントです。
一方、先代のキハ85系にはパノラマグリーン車があり、大きな1枚窓から前面展望を楽しめるのが大きな魅力でした。また、キハ85系の非貫通型は、パノラマグリーン車よりも多少見晴らしは劣るものの、最前列からは運転室と前面展望を見ることができました。気になる人は、キハ85系が大量に引退する2023年3月のダイヤ改正までに1度は乗っておくことをオススメします。
いざ車内へ
座席はほぼN700S
普通車は、2+2の標準的なリクライニングシートで、全席にコンセントが装備してあります。座席の色彩は、明るいワクワク感を演出しており、飛騨地方の紅葉、高山祭り、下呂花火大会などをモチーフとしているそうです。
座席の形状は、コンセント、リクライニングともに全てN700Sの普通車と全く同じものです。シートは硬めですが、腰に負担がかかりにくい形状となっており、個人的には気に入っています。
テーブルも広くて使いやすいです。近年の新型特急では珍しい横引カーテンが採用されたのもポイントが高いですね。
デッキ部分他
通路部には高山本線沿線の特産である美濃和紙、岐阜団扇が展示されており、美術館にいるような優雅さを感じることができます。
お手洗いは温水洗浄機付き便座。移動中も安心して利用することができます。
車両の端には大きな荷物が置ける荷物スペースがあります。キャリーバックがあっても安心ですね。
電車より静かな車内
列車の外では気動車と同じようにエンジンのアイドリング音が聞えますが、列車内では遮音性が高いのか、エンジン音はほとんど聞こえません。気動車であれば速度の上昇とともに変速し、けたたましいエンジン音をならして強く走りますが、HC85系は、エンジンの回転数が一定なので、変速するときのショックがありません。また、制御装置にはVVVFインバーター、モーターにはPMSMが用いられているため、高速走行時でもエンジン音、モーター音ともにほとんど聞こえません。正直、他の在来線特急(しなのなど)よりも幾分静かです。(音鉄には物足りないですが、、、)
感想
本記事では、特急ひだ・南紀号の新型列車HC85系の普通車の車内を紹介しました。駆動装置、車内設備に数々の最新技術が取り入れられており、気動車であるキハ85系と比べて相当快適になりました。ただ唯一残念なのが、前面展望がなくなってしまったこと。側面の大きな窓は健在なので沿線のきれいな景色を快適に楽しむことができるでしょう!
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