日本国内には、多種多様な新幹線車両が走っております。そのほとんどに普通車よりワンランク上のグリーン車が連結されています。東京と信州・北陸を結ぶ北陸新幹線、新潟へ向かう上越新幹線で走るE7系・W7系新幹線にも立派なグリーン車があります。その快適性いかがなものでしょうか?筆者は、数ある新幹線グリーン車の中でもかなり優秀な部類に入ると考えています。
本記事では、E7系・W7系新幹線のグリーン車と普通車、グランクラス、他の新幹線車両(N700、N700S)との設備の違いを徹底比較します。この記事を読めば、E7系・W7系グリーン車に乗ってみたくなること間違いなしです。
E7系・W7系とは
E7系・W7系とは、JR東日本、JR西日本が所有する北陸・上越新幹線の新幹線車両です。JR東日本が所有する車両をE7系、JR西日本の車両をW7系と呼びます。両者の内装は共通です。最高速度は上越新幹線区間で275km/h、北陸新幹線区間で260km/hに設定されています。
E7系・W7系は、2014年に当時の長野新幹線(東京~長野)にて運行を開始、2015年の北陸新幹線金沢開業とともに北陸新幹線(東京~金沢)の車両が全てE7系・W7系に統一されました。また、2019年より上越新幹線(東京~新潟)でも運行を開始、2023年に全てE7系に統一されました。2024年春、北陸新幹線(金沢~福井~敦賀)の延伸に伴う増備が進めば、東海道・山陽新幹線N700系に次ぐ一大勢力となります。
座席のクラスは、普通車・グリーン車・グランクラスの3種類です。それぞれどんな違いがあるのでしょうか。グリーン車に焦点を当てて、本記事で徹底比較します。
グリーン車車内
E7系・W7系のグリーン車は、12両中の11号車に位置します。重厚感のある赤い扉の向こうに行ってみましょう。
座席は新幹線グリーン車としては標準的な2+2列の4列配置です。座席、カーペット部分は紺色を基調としており、落ち着きや気品が表現されております。
座席はなんと電動リクライニングとなっています。背もたれのみならず足元も動く構造です。また、背もたれと座面が連動させてゆりかごのようにリクライニングする「クレイドル式(ゆりかご式)」が採用されており、まるで無重力空間にいるような座り心地(寝心地?)が体感できます。
座席の枕は上下可動式となっています。姿勢によって好きな高さに合わすことができるようになっているので、ぐっすり眠りたいときは重宝します。
座席とカーペットには「和」をモチーフとした格子柄などが描かれています。細部にこだわりを感じます。
座席の背面テーブルは、グリーン車としては一般的な前後可動式の大型テーブルです。普通車に比べても分厚いので、食事やPC作業においても安定感があります。
座席のひじ掛け部には折りたたみ式のドリンクホルダーがあります。缶ビールなどを開けたまま席を立つことが出来るので、特に通路側の人は重宝します。
ひじ掛け部分には1席1つコンセントが完備されています。
窓枠上部や通路側の座席の足元には照明が灯されています。大部分の区間でトンネルを走行する北陸・上越新幹線ならではの、車内を明るく見せる工夫ではないでしょうか。
普通車との比較
グリーン車は2+2列配置、普通車は3+2列配置です。座席幅、隣の席との間隔、シートピッチはグリーン車の方が広くとられています。また普通車にないものとして、床下のカーペット、座席下の照明、窓枠上の照明などがあります。
リクライニングは、グリーン車がクレイドル式でレッグレストも動くのに対して、普通車は背もたれが傾くのみです。枕はグリーン車、普通車ともに上下可動式となっています。
コンセントはどちらも1席に1つ完備しております。グリーン車は座席のひじ掛け部にあるのに対し、普通車は窓側に1つと、座席前面に1つ(または2つ)配置されています。普通車の通路側で充電している場合には、窓側席の人が通路に出る際に充電コードを跨がなければなりませんが、グリーン車ではその心配はいりません。
グランクラスとの比較
グランクラスは1席ずつ独立しており、1+2列配置です。普通車が2+3列配置、グリーン車が2+2列配置であることを考慮すれば破格の大きさです。
グランクラスがグリーン車に比べて、座り心地、居住性において優れているのは言うまでもありません。さらに、北陸新幹線最速型の「かがやき号」には飲料・軽食サービスが付いています。
ただし、グランクラスはグリーン車よりも大幅に高額であること、割引商品が少ないことから、手が出しにくい料金設定となっています。
東海道・山陽新幹線N700S(N700A)との比較
東海道・山陽新幹線を走行するN700Sグリーン車との比較です。E7系・W7系は12両編成のうちグリーン車が11号車の1両であるのに対し、N700S(およびN700A)には16両編成中8,9,10号車の3両が連結されています。東海道・山陽新幹線のグリーン車は16両編成の真ん中にあるため、エスカレーターやエレベーターが近いのに対して、E7/W7系は編成の端っこにあるため、改札から遠くて不便なのが難点です。
座席はどちらも2+2列配置ですが、リクライニング方式、枕、足元の設備、テーブルにおいて仕様が異なります。
電動リクライニングは、身体の力を使うことなくリクライニングの微調整ができる一方、製造コストと車体重量が増加するので、高速性能を追求する新幹線車両においては導入が慎重になります。たしかにN700Sのリクライニングは秀逸ですが、ここでは電動リクライニングを備えたE7系・W7系に軍配が上がります。
また、ドリンクホルダーとインアームテーブルどちらが優れているかというと、これは好みの問題かもしれませんが、私個人的には通路側に座っていても、ドリンクを置いたまま席を離れられるE7系・W7系の「ドリンクホルダー」が推しです。また、言うまでもなく枕はあった方がいいに決まっています(笑)
よって、E7系・W7系vsN700S(N700A)の勝負では、E7系・W7系のほうが快適性に優れると言えます。
まとめ
本記事では、北陸・上越新幹線のE7系・W7系のグリーン車について、普通車、グランクラス、東海道・山陽新幹線N700系との比較をしました。
E7系・W7系グリーン車のいい所 ・電動リクライニング・レッグレストを備えており、抜群の座り心地である。 ・和をモチーフとした高級感のある内装 ・ドリンクホルダーがあるので、座席を離れても安心。 ・コンセント、大型背面テーブルなど機能的な設備を備える。 E7系・W7系グリーン車のいまいちな所 ・編成の端(11号車)にあるため、エスカレーター、階段から遠い。
個人的に、E7系・W7系グリーン車は新幹線車両の中でも最高級と言えます!是非、北陸・上越新幹線を利用する際には乗車してみてください!
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